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2025.02.05
普通科
「共生」~人間の価値は何で決まるのか~
1月29日 (水) 6限HRにて「人生講話」が開かれました。目まぐるしく変化する現代社会の中で、生徒が生きていくうえで重要なことを、ゲストスピーカーをよんで伝える企画。今回は、「共生」をテーマに岩佐先生に講演をしてもらいました。岩佐先生の息子さんが障がいを抱えているということもあり、「障がい者と共に生きること」に対して実体験を交えながら、話してもらいました。今回の記事では、岩佐先生の「人生講話」を聴いた生徒たちの感想を紹介したいと思います。
「話を聞きながらずっと自分が先生のように、親の立場だったらどうか考えながら聞いていました。私は今まであんまりそういう障がいがあるような子たちと関わってこなかったから、知らない世界を知れた感じで興味深かった。人間の価値のことについて私も考えてみたけど、私も人間の価値は高い低いで評価するものじゃないと思ったし、自分が死ぬ時に楽しかったな、いい人生だったなと思えることが、自分が生きてることの価値があったことになるんじゃないかと思いました。だから、他人から見てどうとか人が価値を決めるのではなくお互いの価値を見つけ合う、共に楽しむことが共生につながるのかなと思いました。」
「ダウン症というなかなかドラマやテレビで大々的にテーマとしてやってることが少ないもので、しかも直接体験談を聞くことが出来た貴重な機会でした。ダウン症だからといって幸せではないなんて言う先入観は必要なく、ただ生まれてきてくれてよかったという気持ちが大切なんだと思いました。発達障害の重度だからこそ2歳児を育てる期間が長く楽しく思う、滅多にない機会だと考えて接することや、周りとたとえ違ったとしても、自分たちは幸せなんだと堂々と言える様な人間になりたいと思いました。共生は全員が活躍できるようにするのではなく、障がいを持っている人でも何か活躍することが出来ること、自分らしく生きていくことが出来る事なんじゃないのかなと思いました。どうしても健常者にとって想像もつかないことばかりだからこそ実体験や関係がある人の話というものはとても心にくるものがありますし心を持って相手に接するために必要な大切な部分だと思います。」
「障がいを持っている人達はできないこともあって不便だけど、だからといって不幸じゃないという言葉にとても心を動かされました。それは私たちができないことがあるのと同じで特別なことでは無いんだなと改めて思いました。障がいの有無ではなく世界中の人々が誰にでも平等に手を差し伸べられたら不便のある人がより豊かに暮らせるのではないかと思いました。」
「私が1番心に残ったのは出生前検査です。「生物の遺伝の授業で以前DNAの約98%がゴミと呼ばれており、反対に残り2%で成り立っている」とそのようなビデオを見た際に、出生前検査というものを習いました。内容は出生前検査に賛成か反対かという討論でした。自分はどちらが良くてどちらが悪いのか分かりません。障がい者の子供を育てていくことは生半可な気持ちでは絶対不可能だからこそ覚悟というものが家族には必要になってくると思います。覚悟を持つためにも出生前検査を行い、我が子に障がいの有無を知るのは家族としても、産まれてくる赤ちゃんの安全のためにも必要だと思います。しかし、出生前検査で陽性が出た人の97%が人工妊娠中絶を行っているというデータもあります。これは自分の子供が障がい者だと分かったから何かしらの理由で産むことを諦めたということです。金銭面からとか、育てる覚悟がないからとか、人それぞれ理由はあるかもしれません。岩佐先生が学費約20万のうち17万程県や市から補助されると仰っていたけれど、それでもお金がかかるものはかかります。補助金をあげるなどして金銭面の問題を減らすことで97%の人工妊娠中絶を少しでも減らせるのではと思いました。障がい者だと分かったら中絶するのは果たしていいことなのか私には分かりませんでした。障がい者として産まれたら不便なことが沢山あるかもしれない。でも、生まれてこれない方がその子にとっては不幸になるかもしれない。人それぞれ考え方が違うようにここには答えはないのだと思いました。もっと深く社会の奥まで理解した上で自分のあり方を見直したいと思いました。」
多くの生徒が「ダウン症などの障がいを学ぶ機会は少ないので、知ることができてよかった」と感想で述べていました。桜丘高校の生徒には、障がい者などの所謂マイノリティの方たちの意見や経験を尊重し、理解をしようとする姿勢を大事にしてほしいと思います。一方で、最後に紹介した生徒のように、話を聞いただけで終わるのではなく、長考を重ねて、自分の意見を持つことが重要だと考えている生徒もいます。より多くの生徒が、知って終わりにするのではなく、「共生」を実現するには何をするべきかを主体的に考えていけるといいですね。
(文責: 普音科2学年 竹之越)